2011年11月19日(土) ２
姉にアナペストとかヤンブとかそれぞれどんなリズムだっけと訊かれる。私は授業のプリントはぜんぶひとつのファイルにまとめていたから、そのことについての説明もまだちゃんと持ってる、ファイルを探す。昔のプリントはだいぶ黄ばんでインクもにじんで、古文書みたい。知りたいことが書いてあるプリントには有名な博士の生い立ちも書かれていて、そっちばっかりおもしろく読んでしまう。親は結婚しろとうるさいけどどの女性も妹みたいに見えて可愛いから恋愛なんかできないという話。紙の端には馬の上半身だけの落書きがいくつもある。
2011年11月19日(土) ３
まずは砂浜に集まる。ラジオによると、各地で銀で出来た新種の虫が発見されているという。それは陰謀だと知ってるから、私たちで食い止めなければ。近くの学校の教室の窓のなかには、すでに銀色のテントウムシでびっしりしているものもある。回収してペットボトルにしまう。
2011年11月20日(日) メモ
壁のメモ、壁の埃、鉄製のコイン、猫のいる家。
2011年11月22日(火) メモ
歌舞伎町、展示、姉と従兄弟の化粧・緑色のコンタクトレンズ、バイトに遅刻しそう、煉瓦のトンネル、人形のサーカス、座布団いちまいぶんのスペースにお金をとる旅館、忘れ物。
2011年11月23日(水)
自動ピアノのいっぱいある地下の部屋で公演に向けて練習。最後に小道具として渡された重いつるはしを持って梯子をのぼる。もうすっかり日は暮れている。でも流れ星がどんどん流れて明るい。蛍みたいにふらふら流れる星もいる。みんなくるくる回りながら空を見ている。
何人かで道の脇に寝ころんで空を見ているうちに朝だ。星が流れすぎて空が埋められて、明るくて、無理矢理来たような朝だった。私はつるはしが崖の下の田んぼに落ちているのを見つける。誰にもささってなくてよかった。友だちは金髪のウィッグが夜露で湿ったのを嘆いている。
2011年11月24日(木)
ベランダに焼死体。