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2010年07月26日(月)

 暗くてわからないがたぶん列車だ。がたんがたん揺れてるから列車。姉の声が言う。「今……本目の街灯を超えた。次の次の……次の電灯まで待ってろって」。ときどき上の方にパラパラ光が見えてそれがたぶん街灯。薄い緑色の光。


2010年07月27日(火)

 光が降っている。白くひかる、雨みたいな滴になって降っている。音楽室のカーテンはすべて閉められている。すき間から外を覗き見しつつ、みんなで光がやむのを待っている。帰れなくなったら楽しいのにだなんて言ってみたりもする。


2010年07月29日(木)

 広くてまぶしい部屋。正面の壁は白っぽくかすんだ鏡で覆われている、床はつやつやに磨かれた石、天井は木でできていて小さなランプがいくつもつるされている、他の面は硝子。白い鏡の上四分の三にはみんなが自由に映像を映している。鏡はちょっと歪んでいるから映像も歪む。鏡だから自分たちの姿も映る。歪んだ映像に歪んだみんなが重なる。空いた下四分の一を利用して散髪もできる。ちゃんと一流の美容師さんがいますから。
 次の人、と美容師さんが言って誰も名乗り出なかったので私の番だ。おかっぱみたいにしてもらう。終わって、もっとおかっぱになりますかねと訊くとこれが一番おかっぱでしょうねと言われる。一方映像の中では予言が行われていて、地震がくると言うのでみんなで逃げる。外には大きな車がいくつも待機していて、みんなそれに乗り込んでいく。どこに行くんだろう恐い。


2010年07月30日(金)

 校舎は一階建ての和風の建築で、教室がある棟と生徒たちの部屋がある棟のふたつが長い廊下で繋がれている。生徒はみんな6畳の部屋をもらっており、同じ布団、同じ冷蔵庫、同じ勉強机を持たされる。そこで寝泊まりしてもいいし、もちろん家に帰ってもいい。私たちは中学生らしく、英語ではハァイアイムリィサとかを教わっていた。上履きは与えられておらず、白い靴下でぴかぴかの廊下をするするすべって進む。
 さて、自分の部屋の布団と冷蔵庫が行方不明になってると知る。冷蔵庫に布団をいれて、そのままだれかが捨てたんだろうと思う。海とかに。このごろはなんでも海に捨てるのが流行だ。音楽室の窓からは海が見える。海はいつでも青い。捨てられたものはだいたい浮かぶ。流れていくまで青の中に映えている。冷蔵庫たちの代わりに部屋には頭の大きい人形が置かれていて、私もそれを捨てにいった。海に。