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2010年09月20日(月)

 絶対ひとが死ぬ祭がある。どこにいてどうすれば死ぬのかはみんなちゃんとわかっていて、死にたくない人は気をつけて走っている。私たちも死にたくないから待ち合わせ場所は念入りに決める。人ごみをかき分けて進む。左手首には腕時計、右手首には腕地図があるから、それを見つめつつ進む。一番目立つ色のTシャツを着て先頭を行く。誰もまだついてないけどいいかと思って三越前にできたちょっとした空間に腰を下ろすとみんな楽器を連れて後からやってきて、だったら私もコントラバス弾きたいよと泣くと先輩がじゃあついてこいと言って、行くと図書館だ。図書館の絵本コーナーは甘い匂いがして素敵。コントラバス置いていないけどどうでもよくなってしまって、小さいピアノのついた絵本を借りて帰る。


2010年09月22日(水)

 屋にはふたつ透明なカプセルがある。人間はカプセルの前に並んでいてよく水を飲んだ状態。順番が来たらカプセルの中に入る。カプセルの中で人間はよくよく押される。無駄な水分と部品がこぼれる。こぼれた部品はゼンマイやハグルマの形をしている。それを磨くバイトでした。


2010年09月23日(木)

 真っ赤なバスで温泉街に向かう。温泉街はまだ作り途中でへんにピカピカしている。温泉は広い。どの宿から入っても同じ大きな温泉に行き着くようだった。ロッカーの鍵の模様と出入り口のマークが一緒になっているから、それでどこから入ったかを見分ける。
 温泉を出てシャワー室を通り、長い木製の階段を上って部屋に向かう。荷物がたくさん並べられている。私のリュックの上には友だちからの置き手紙がある。「みせの看板に落書きをしたら怒られたから、急げ」。そうか追い出されてしまうならその前にお土産買わないといけない。商店街に走るけど道は温泉で湿っていてやりにくい。やっと見つけた服屋では老婦人たちが金色のスカートの試着にならんでいた。もういいやと思って部屋に戻る。友だちの何人かはすでにいない。私も荷物を持って逃げようと思うけれどあの置いて行かれたベースが誰のなんだ。


2010年09月25日(土)

 サイレンの音が二重三重にきこえてあんまりのうるささに目を覚ますとカーテンがさわさわ光っていて窓の外は、洪水だった。光るみなも。町内放送も二重になって聞き取れなかったがたぶん行方不明者のしらせなんだろう。流れる水を見つめる。流れてくるからよしなよと友だちが言う。自分の部屋がマンションの何階なのか思い出せなかったけど澄んだ水の底には背の低い家々が玩具みたいに並んでいた。水は青にも赤にも光った。
 ああ。
 流れてくる幸福な死者を思った。サイレンは音楽だと気づいた。友だちたちが用意してくれた朝ごはんの熱で、部屋は暖かかった。


2010年09月27日(月)

 姉がワンピースに着替えてきのうの服を洗濯機に入れるので、今日帰るんだったら洗濯終わらんよと怒る。