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2010年10月01日(金)

 畳の部屋を片付けなくては。蝉の死骸や雀や鸚鵡やらが転がっている。まだ生きている蝉もいて、まずそれを見つけた。ひっくり帰って足を開けたままじっとしているので足の間に指をやって掴ませる。掴む力の強くって血が滲む。窓の外に指をやると飛んでった。
 死んだ蝉らは触れると砂になって掃除に困る。雀も鸚鵡もまとめて掃除機で吸ってしまう。


2010年10月02日(土)

 殺してしまったからだ。上も下も右も左も真っ黒で、ここには子どもたちしかいない。立っているからそこが地面だとわかる。幾つものやわらかいかたまりを人間の皮でくるんで、ところどころに髪を生やしたような赤い塊があって、たぶんこれが私たちの殺してしまったものなんだ。←これは暗黙の了解。
 活動していくうちにキッチンが発見される。黒い冷蔵庫を開けると卵は白かった。フルーツと半熟の目玉焼きが入った甘いスープを作るための班ができあがる。別の班は遠くに向かってずっと歩くことにする。
 足をふらふらさせながら帰ってくるとスープ班の子らの他に知らない子どもたちがいる。歩いてきた班はどこにも出口がないことにがっかりしていたけれど、知らない子らを見てとたんに元気が出る。しかしスープ班の子らが説明する。この子どもたちも同じ真っ黒の中を歩いてここまでやってきたということ。やっぱり大人を殺しては行けなかったんだなあと思う。
 もうやってられない、と友だちのひとりが言って、赤いもにょもにょした塊に、割れた皿の破片で斬りつける。塊は傷ついたけど、傷ついた塊からは血が出るばかりだった。
 みんな黙ってスープ班の甘いスープを飲んだ。スープは白く光るから人気だ。
 白。
 空は雲に覆われていたけどそれでも明るかった。透明な硝子玉を磨きながら帰り道を歩く。緑のやつは姉にあげたから、今度のは母にあげよう。


2010年10月03日(日)

 最後のふたつの休憩所では踊ったり歌ったりしたと思うんだけど、お前は去年それに参加していないから今年も参加してはならない、と言われる。確認のためとビデオを見せられる。みんなでプールサイドにならぶと、プールは去年の体育館の映像で充たされる。踊ってる自分をさがす。自分どころか誰一人見分けがつかない。みんな同じような凹凸の顔だ。プールサイドに立つ友だちの一人が水面に手をやると波が映像の中の人びとをバタバタと倒していく。ドミノ倒しみたいだ。みんなそれを見ようと真剣になる。水面を覗き込むうちのひとりにふるさとの友だちを見つけてアドレス交換をする。


2010年10月04日(月)

 教授がなかなか来ないので休講かもしれん。友だちのひとりが今朝恐いことがあってと話だして、きくとドライヤーから自分のより長い髪がごっそりでてきたと言う。別の友だちが、でもドライヤーって絡まった髪が、ほら、熱でくっつくから、と言う。そうなのかと感心している。


2010年10月05日(火)

 部室のソファーで友だちとおしゃべりしてたら正面の扉の大きい硝子のところに後輩たちが集まってピンクの絵の具を塗りだす。きれいに透けてる硝子は向こうからみたらただの鏡だから安心と思う。塗り終わったころになんも知らないそぶりで部室を出て、段ボールを運んでいく。