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2010年10月06日(水) 1

 朝、合宿所を囲むようにまわりに溝ができていて、業者の人がそこに水を注ごうとしている。話をきくと経費はそちらに支払ってもらいますなんて言うから、みんな反対する。でも水は注がれてしまう。穴を掘るための大きな機械たちが倒れてきて、たぶん何人も流されたしつぶされた。


2010年10月06日(水) 2

 スーパーで買い物をしてる。紫のやらかい葉っぱと、キャベツをかごに入れている。鮮魚コーナーを通り過ぎるとき、あーあー、と細い声が聞こえて恐い。みんな気味悪がってざわついている。店内放送があって、まだ公式に発表されていないけど芸能人の誰々が事故にあった、というようなことを言う。みんな細い声のことを忘れ、おのおののことをしだす。悲しんだり。はやく情報を手に入れたことを喜んだり。私は店内放送の声で、ここで中学校のときの友だちがアルバイトをしてるとわかって嬉しかった。店に貢献しようと思ってコーンフレークも買うことにした。


2010年10月07日(木)

 途中からポケモンのセーブがセーブポイント方式になって困る。


2010年10月09日(土)

 壁に絵をかくのとごはんを食べるだけの毎日だ。女の子は熱湯と冷水を同時に出せるやかんを持っていて、それでひとに水をかけてやろうとするから火傷を負わせてばかりいる。私たちは新聞をながめつつ、すり減ったスニーカーの代わりに何を買うかを相談している。


2010年10月10日(日)

 地球が残り8ポイントになって、巨人たちもがんばってきたけどとうとうこれまでかなあと思う。巨人たちは守り神みたいにして、名前のついてる土地とか川のひとつひとつにひとりずついる。水に住む巨人たちは諦めて水中に戻っていく。
 水中の街にはカラフルな飴売りがたくさんいる。飴売りの屋台を避けながら泳いで、散らかった部屋に向かう。部屋の奥の渋い紫の座布団の上に、手足の長い小人ふたりがぷるぷると立っている。私が小人たちを飾って姉が写真を撮る。ふたりめの撮影の後ひとりめがいないのに気づく。白い枕が大きい虫を潰したように赤く汚れている。生理だったことにしておこうと枕を洗濯機に隠した。ひとりきりになったふたりめの小人は、なにも言わなかった。やり直さないといけないなと思ったけれどどこからやり直せば良いのかわからなかった。音楽が流れてきて、本当は好きだった、とか、今すぐに会いたい、とか言う歌詞に苦笑いする。


2010年10月11日(月)

 むかしの通学路だ。道の脇には白とピンクのツツジが咲いている。坂道の下の方に虎がいるのが小さく見える。私たちは虎に見つからないようにといつもより手前の角で曲がろうと相談する。でもその声で、もう虎は私たちを見つけてしまう。近づけば虎は大きい。近くの民家の戸を叩いて、虎が出たんです! と叫ぶ。おばちゃんが出てきてそれは大変とあたりを見るけど、そのとき虎はサラリーマンに擬態している。小学生のいたずらかと思ったろう、おばちゃんはとつぜん真顔になって、戸を閉める。サラリーマン=虎はさらに近づきつつあった。サラリーマンの姿は動きにくいらしく虎の動きは鈍い。私たちは走ってまだ開いている踏み切りを越える。背中の方でカンカンと音がして踏切が閉まっていく。虎はその向こう側にいる。友だちが、電車に虎を轢いてもらおうと言う。だから右の方に電車が見えたとき、わざとに騒いで虎を挑発する。虎は駆けださんとする。黄色の電車がごおごおと走ってきて、虎は多分その中につっこんだと思う。振り向かずにダイエーまで走った。果物売り場で物色しながら虎のことが可哀想に思えてきた。