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2012年10月25日(木)

 まだ友だちはふたりとも眠っていた。起こさないように静かに立ち上がってトイレに向かう。扉を開けると蔦に覆われた場所に出る。でもちゃんと、いや、ちゃんとはしてないけど、トイレだ。便器は苔むしている。部屋に戻って友だちを起こしてどういうことだよって訊くと、4年も住んでればそんなもんでしょという返事。まじかよってトイレをまた確認して、そのままでがっかりする。風呂場も同じように廃墟みたいになっていた。友だちたちがその日のお弁当について盛り上がっているのを見ながら、やっと逃げる理由ができたという気分になる。チャイムがなって、別の友だちが傘を持ってやって来る。


2012年10月28日(日)

 家族の食卓。鍋だ。テレビでは天気予報。なんか変な音がしている。たぶん外から。私はその音がなんであるか気づく。貞子が出るときのBGMだ。テレビのまわりにありたけのアルパカ人形を並べる。窓の外に落下音が響く。ベランダに出ると、道路に人間が落ちてるのが見えた。人間の腰に巻かれた紫の布を見て、そいつが泥棒であると察する。見てたことを気づかれないようにと音をたてずに部屋に戻る。通報しよう。姉に外を見張らせて電話に向かう。泥棒はもう復活して黄色いクレーン車を操り隣家に侵入しようとしている。


2012年10月29日(月) メモ

 祭りが各地で、準備 、点々と、追い付かれないよう、乾いた海藻でつくるリース、高校生のマラソン大会、ゴールした選手におしぼりを渡す、遅いグループに、速いグループに、行進、先頭、うしろあるきのむかで競争、世紀末音楽、手足の長い人びとの踊り。


2012年10月30日(火)

 二階に宿をとっていて、三階から上は本屋だ。近くの居酒屋で飲み会をして、みんなバラバラに部屋に戻る。気づけば私は裸足で歩道を歩いていて、靴も靴下も宴会場に忘れたのかな、まあいいや。でも一緒に歩く友だちが靴も靴下も半分貸してくれた。階段をのぼれる気がしない。それでも、友だちに競争して上がろうと言われると、足元が軽くなって走り出していた。夢でうまく走れるのは珍しいなと思った。エレベーターを使うほうが怖かった。二階を過ぎてもまだ走った。
 七階まで来た。ずっと本屋だった。八階も半分は本屋だと表示がある。ずいぶん広いんだな。八階の本屋に通じる階段の他に、屋上に通じる乗り物がある。私たちはそれに乗った。ジェットコースターのように見えたけど、身長や年齢の制限もなく、ゆっくり進むのだろうと予想した。しかしジェットコースターだった。どんどん速くなって何度も上り下り回りして、やっと屋上に着く。
 屋上も空も真っ白だった。風船をもらった。私たち5人全員、色ちがいの風船。飛ばすのが決まりだと言われて飛ばした。わーわーと野球応援みたいな音がした。
 階段で本屋に降りる。そこからはもうエレベーターを使おう。疲れてしまった。エレベーターに扉はなく、箱がやって来たらタイミングよく乗らねばならん。うまく乗れたら箱の真ん中、天井から床までのびている銀の鎖をひっぱって箱を操り、目的の階まで行く。途中で乗り込む客もいるから、彼らを挟んでしまったりしないよう要注意だ。自分が乗るときも、間違えて箱の上に立ったりしないように。


2012年10月31日(水)

 広い学校が世界の全てだ。二階の廊下には河が流れていて三階の渡り廊下から行けるプールにつながっている。プールは体育館の屋上にある。体育館の倉庫にある白い階段をのぼれば屋上に出る。プールサイドには色とりどりの花が咲いている。校舎の一階の端の教室は温泉。二階の教室はうまいこと河を泳いで入らないといけない。三階には他の階よりたくさんの階段がある。そのうちのひとつが一階の秘密の部屋に通じている。授業はない。生活をする。少年少女たちは循環して暮らしている。河を渡って新しい子が来るとき、誰かひとりがいなくなる。決められた人間関係のもと幸福に生活を送っていた。
 しかしあるとき裏切りが起こる。新しい秘密の部屋の主の策略のようだった。恋人同士だった少年ふたりは殺し合いをしなければならないかもしれない。少女のひとりが倉庫から地図を盗む。抜け出すためだ。どこまでが仕組まれたことかわからないから慎重に。自分が地図を盗むことすら、策略のうちかもしれないという不安を抱えながら。
 という物語を読んでいる。物語には1から9までの番号が振られているけれど、物語の進む順番はその通りでない。ひとつ終われば次の話にと思うけれど、読み始めるとすっかり登場人物になってしまって、なかなか抜け出せなくて困る。夢の中で別の夢を選んでみているような感じだ 。