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2010年01月15日(金)

 空のいろんなところにパカッと横線が入って、そこからシャボン玉が吹き出す。それでみんな空を見ている。世界もこれで終わりかっていう雰囲気。蝉がうるさいのだけ気になっている。シャボン玉は触れてもすぐには壊れない。シャボン玉は触れればくっつく。そしてくっついたシャボン玉が壊れると、その穴から体中の空気が抜ける。ひとの抜け殻が新宿駅にたまっていく。


2010年01月16日(土)

 みんなでショッピングモールに行く。冬なので子どものためのスケート場になっていて、二階にある本屋の他はだいたい凍っている。私たちはスケート靴を持っておらず行動範囲が狭い。ベンチに座る。ゲーセンでスケートを楽しんでいる、ティンカーベルのコスプレした女の子をながめている。ゲーセンの、もともとでかいプールがあった場所も今はスケート場だ。しかし凍っているのは表面だけのようだった。ママチャリが一台突っ込んで、表面の氷が割れる。子どもたちが次々に沈んでいく。私たちはあわてて救助に向かう。思ったよりも深いプールだ、潜る。
 再び水面に顔を出したときには春が来ていて、まとわりつく緑の藻が鬱陶しい。ショッピングモールもつぶれていた。廃墟だ。
 家に帰ると父がいなくて、母に訊くとその元ゲーセンのプールだった現廃墟の池に引っ越したと言う。猫も一匹足りなくて、父が連れて行ったと言う。


2010年01月17日(日)

 校舎の横の線路を行く。一時間に一本しか走らない電車だから、通過を確認したら楽に歩ける。線路は錆び付いて土色、まわりには葉っぱの丸い草がたくさん生えている。校舎からは水が漏れだしていて、全体が湿っている。写真撮りたいけどカメラないようって言いながら行く。
 本当はもっと真剣になるべきなんです。
 途中、離れの校舎があるのでみんなで入る。今では使われていないその校舎は緑で覆われており、光があまり入らない。床にたまった水が黒くぬめって見える。水の中から手が出ており、手は女の子になる。女の子は私にキスをして、おまじないさ、と言った。
 回想、私たちは四国中央市のふわふわした動物園で生きてきていた。ある日見張りの建物の三階に東京行きのバスが着いたと連絡がある。みんなで崩れかけた階段をかけあがり、三階に向かう。崩れかけたバスが待っている。
 それで、なんか、森で、光で、水で、いろいろあった。


2010年01月18日(月)

 父がなんでも買ってやるぞと言うので私たち姉妹は服屋の狭い通路をやっぱり夏服は安くなってるねって言いながら走り回る。


2010年01月19日(火)

 音楽室に忘れ物をしたので取りに行こうとすると用務員の老婆が来て、音楽室はもう閉まった、と言う。仕方ないので鍵を借りる。非常口から入ると一番近いと知っているので、非常階段を上る。用務員も一緒だ。途中で用務員が疲れたと言うので負うて上る。また途中で、友だちと姉が加わる。姉に鍵を渡す。扉の前まで来ると鍵を持っている姉が泣き出す。友だちはそれに合わせてリコーダーを吹き始める。困ってしまう。用務員が番号をそろえたら開くのだと教えてくれる。番号は知っていた。6、4、1、で扉が開く。鍵は要らなかったねとみんなで笑う。ひとしきり笑って音楽室に入る。
 明るい音楽室で後輩たちは合奏を終えていた。
 もうコントラバスを弾く自信はないなと思って迷っていたのだけれど、そうか今は彼らの時代だった。合奏が終わってみんなが去った音楽室で、私と友だちは昔好きだったミュージカルをこっそり見る。ミュージカルの途中で蛍の光が流れ出した。あわてて音楽室を出る。鍵を持って来てしまったと気づいて焦るけれど、ポケットの中には昔の家の鍵があるばかりだった。これでやっと家に帰れる、嬉しくなる。
 家に帰ると姉も猫たちも先に帰っていて、なんだそんなものか、と思う。姉が黒くてふさふさのほうの猫を見ながら、うちの猫ってローゼンメイデンのロリいやつに似てるよねって言うけどどこが似てるんだか全然わかんない。


2010年01月20日(水)

 音楽室の地面に穴を掘っていると、窓のほうから叫び声がきこえる。いつも窓の外で叫んでる人の声。今度こそは捕まえようってみんなで走り出す。森に入る。森の中には木製の扉がいっぱいあって、全部空から垂れてる糸に支えられている。一番大きな扉の前にみんなで座る。光が漏れている。