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2010年04月01日(木)

 まわりは木で囲まれている。私たちは空からのびる細い針金でつるされたピアノの上で暮らす。ひとと会うにはピアノを揺らさなければならない。ピアノの縁はするどくて木々を削るので森に謝りながら暮らす。


2010年04月02日(金)

 姉と入れ違いになってしまった。丸い椅子に乗って飛んだり椅子をつれて歩いたりして姉を探す。すれ違うひとたちに、私と似た顔をした白い服のひと見ませんでしたかと訊く。やっと会えた姉は青い服を着ていて、なかなか見つからないわけだと思う。


2010年04月03日(土)

 私はたぶん小学生で、みんなと一緒に詩を書いている。思ったことをそのまま言葉にしなさい、とか感動を素直にあらわしなさい、と先生は言う。書き上がった人から教室の前の右側にある赤い球体の中に入って、先生と一対一で向き合う。評価してもらうのです。先生は私の詩を見て、そのうちの一行を指差し、ふむふむそれでこれはどんな意味なの、と訊くので、意味……となって、これは嘘ですとあわてて言う。


2010年04月05日(月)

 生活を終えて外に出るとカーテンコールが始まっていた。あわててそれに加わる。みんなで肩を組んで歌うけどみんな歌ううたが違っているのでちぐはぐだ。それでも新入生たちは盛大な拍手をしてくれる。客席を見ながらどのエスカレーターが部室に通じているかを考えている。


2010年04月06日(火)

 電車に乗って移動する。目的地はないのでずっと止まらない。目的ならある。顔の大きな子どものお化けを倒すこと。お化けは外と内を行ったり来たりしながら、車体と乗客を食い荒らしてゆく。生き残った乗客たちで電車の修理費を払うという話をきかされている。新歓の時期でそれだけでも出費がかさむんです。私たちはできるだけ多く生き残らなければならない。でも子どものお化けに食べられる瞬間に、今までのことを全部思い出せるといううわさが蔓延していて、みんなそれを気にしている。「今までのこと、全部!」


2010年04月07日(水)

 変身できる猫たちがいる。猫たちは人間みたいな見た目になれる。人間みたいなのは見た目だけなので、しゃべったりはできない。しかし中にはおひな様バージョンと呼ばれる、頭の上にひな人形を載せた人間みたいな見た目になれる猫たちもいて、そいつらはひな人形部分でパクパクと言葉をしゃべれる。それに短歌を朗読させるのが流行っている。いつも短歌を作っているレストランに猫を連れていくといつものゼリーが二種類になっていて、店員さんがにこにこと私の努力で増えたんですよオと言う。増えた方のゼリーを注文する。椅子に座ったあたりで、親戚たちが部屋に入ってくる。もっと片付けとくんだったなと思う。