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2010年05月02日(日)

 試験を終えて帰りには売店に寄る。商品入れ替えセールをやっていて、安くなってるコーナーだけを見る。「お化粧セット」がある。やけにピンク色が強い人形の頭と、おもちゃの化粧道具がセットになっている。友だちと私はそれを買い、おもちゃの口紅で首の断面を描く。おもちゃの赤いマニキュアを垂らしてリアルだ、と笑う。


2010年05月03日(月)

 すべりだいをすべりおえたらその先にはふた回りくらい幼い先輩がいて、2006年から来たと言う。10年前から来たのかとびっくりする。とくに困ってる様子もないので、一緒に椅子を体育館に返しに行く。あたりの木々を見ながら、椅子運び中に虎に会ったらやだなと思う。


2010年05月04日(火)

 昼間っから豆腐売りのラッパの音が響いていて、音の通った空から順に夕暮れていく。きれえなグラデーションだね。ラッパの音は悲しい。私も悲しくなる。爪と指の間からやたら血が出るのでスカートのすそを握ったまま放せない。


2010年05月05日(水)

 路面電車に乗って隣町に行きいつものパン屋に入る。トマトカレーと小さいナンのセットを選んでレジに並ぶ。店員さんは商品を袋に入れると値段を言わずにこちらに渡す。えってなる。言うには今日は全商品無料らしい。嬉しくてスキップで店を出る。友だちを見つけて駆け寄ると、友だちは大きなビニール袋にメロンパンとかクリームパンとかたくさんのパンを入れて歩いていて、ほら全商品無料だからと言う。そうかカレーとナンだけだなんて、と気づいてまた店に入りパンたちを選びレジに並ぶ。明日は準備だからはやく帰らないとなと思う。たくさんのパンたちを袋に入れてもらい終え、目を開けると日付が変わっていたため全品無料セールは終わっている。間一髪だった。
 私たちは母校に向かう。卒業式の準備。吹奏楽部たちはすでに2階に待機していた。向かうと、三曲目の指揮者が失踪したからお願いできないかと頼まれる。無理ですよとすぐに答える。あなたたちの時代なんですから、と心の中で言うと、泣けた。


2010年05月06日(木)

 入り口の横に灰色の毛玉が落ちている。大きな灰色の毛玉だ。よく見ると毛玉から鳥のひなが顔を出している。ふわふわで可愛い。さらによく見ると大きな毛玉も鳥のひなだった。ふわふわで可愛い。小さいひなは大きいひなの子どもだろうと感じる。とたんにグロテスクに見える。友だちが、腐ってるからその毛玉はやく行こうヨと言う。大きいひなは確かにあちこちに血をにじませていて、臭った。私たちはあわてて扉を開ける。頭上にコバエが舞う、でも中に入れば安心だと思った。中に入って階段を上る。部屋に入る。部屋はコバエでかすんでいる。せっかくの修学旅行なのにこんなコバエまみれの部屋に泊まるのかと私たちは憤慨して、フロントへ電話をかける。ホテルは満室でしてどうかその合宿所で満足してください安くしとくんでと言われて納得する。安いのならかまわん。
 私たちは言われた通りに満足する。
 ハエたちを追い出すために窓を開ける、ついでに下を見る。地面には赤い染みができており、そこからたくさんの小さいひなが生えていた。ひなたちの上にコバエが踊る。餌だよお食べとコバエを指してひなたちに言った。それを無視してコバエたちは夕焼けの方向に飛んでいった。