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2010年06月19日(土)

 雨で地面がキラキラしてる。アスファルトのたくさんのひびにはたくさんの草。道路に打ち捨てられた車たちは錆び付いて形より他の差がなくなる。町には子どもしかいない。子どもに性別はなくみんな手をつなぎあう。空も飛べる。でもお腹はすく。
 はやく目覚めないと。


2010年06月20日(日)

 家族旅行も終わりに近づく。
 鍾乳洞には連れて行けないからと旅館の横にある民家みたいな体のペットホテルに預けた猫たちを引き取りに行く。しかし扉を何度ノックしても返事がない。雨が降り出すと庭で遊んでいた子どもたちがわやわやと扉を開け中に入って行った。それに続く。
 部屋の中には動物の入ったゲージがみっしりとならんでいた。猫、犬、ハムスター、ウサギ、いろんな動物がいる。でも私たちの猫が見当たらない。人を呼ぶと高校生くらいの女の子が出てきて、すみません雷怖いんですぅ、と言う。いらいらと猫たちのことを訊ねる。女の子は私たちの案内をしながら、ここは貸本の部屋でこっちはビデオテープの部屋、DVDはあそこです、預かっている動物たちは最初の部屋ですが、えへ、臭いですよね、と言う。さらにいらいらとしてもう一度猫たちのことを訊ねると、女の子は細い声で母親を呼ぶ。母親は女の子をそのまま横に長くしてしわを書き込んだような姿だった。
 女の子の母親に、猫たちのことを訊ねる。猫ちゃんのお名前はと訊かれて、ルナとデルタですと言うと、ああこっちですねと母親はふすまを開ける。そこは押し入れじやないか馬鹿め、と思ったけど違う、広い広い部屋だった。その部屋の動物たちは最初の部屋の動物たちより元気がないように見えた。部屋の中央のゲージではシマウマが体を丸めて悲しそうにしている。不安になる。母親は半透明のプラスチックのケースからウサギの死体をふたつとりだしてほら、と言う。私は怒って彼女を殴る殴る殴る。女の子が泣きながらやめてと言うのでやめる。母親は縮んで女の子と双子のようになっていた。
 私たち一家はその親子に頼るのをやめ自分たちで猫の捜索をはじめる。あちこちでぬいぐるみが見つかる。
 どれもこれも昔愛していたものたちで、ああ、こんなとこに忘れてきていたんだ、泣きそう。


2010年06月21日(月)

 バスは短く正方形に近い形をしていた。一番後ろの席に座る。途中で病院に停車。ナースが四角い箱を持って乗り込みその中からそっと老婆の上半身(老婆には上半身しかなかった! ついでに言うと腕もなかった、はこにみっしりと入っていそうな姿だった)を取り出して私の隣の隣に座らせる。ナースは後から乗ってきた新米ナースに老婆を見守るよう命じ、居心地の悪さに私は下車する。それに老婆からは死にそうな、嫌な臭いがしていた。
 次のバスはいつ来るのかと思う。明日だ。あれは終バスだった。病院の体育館が休憩所になっているのでそちらに向かう。
 あんまりみんながそろっているから最終回だと思った! 低音メンバーに渡されたエレキベースの冷たくて、起きなきゃなあと足をぶらぶらさせる。


2010年06月23日(水)

 目を覚ましてベッドから転げ落ちてるケータイを探り当ててパカッとするとメールがたくさん来ていて、全部自分から自分に送信、受信した空メール6件。これはキモい。とりあえず寝汗がすごくって起き上がってシャワー浴びにいくと足がパンパンにむくんでいる。うわーむくんだ足はピンク色で、足の指は親・人差しグループとその他グループにわかれてそれぞれ癒着している。爪は黒い。これは蹄だ。立っていられなくなる。写メ撮らんととばかり思っていて、でもケータイはベッドの上だから遠すぎる。


2010年06月24日(木)

 長いソファーに大勢腰掛けて向かいのテレビには借りたてのビデオが映る。安っぽさを売りにしているポップなホラー映画のビデオ。私はソファーの真ん中に陣取り、この赤色はなんと安っぽくて素敵なんだ、とか思っている。でもばあちゃんたちは映画に興味がなくて会話したい。だんだん申し訳なくなってビデオを止める。ばあちゃんと一緒にこんな、少女がずたずたにされるようなビデオを見るなんて、なんだかおかしいしね。ビデオテープをビデオデッキから引き抜く。そしたらビデオデッキのビデオ入れるところから血がだーっとでてきた。怖い。最近よくあるからだいじょうぶ、とばあちゃんが言ってほっとする。長いこと経ったものねえとみんなで話す。