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2010年06月25日(金)

 子どもらしかいない。地面は赤茶けた土と水で泥々だ。あちこちに宝が埋まっていて、見つけたひとから溶けていく。全部の宝を見つけきったらみんな救われるって噂。宝が最後のひとつになったとき残っているのは少女と二人の少年だった。
 ※どの子どもも私ではない。
宝を見つけきったらみんな帰ってくるのか、それとも緑の大地だけが戻ってくるのかがわからん。少女は背の低い少年を好いていて、背の低い少年は背の高い少年を思っている、背の高い少年は少女と暮らしたい、それでどうしようもない。今日はもう解散、を繰り返している。


2010年06月26日(土)

 中学校の中庭に花壇あるのだけどそこに生えているチューリップを刈っていく。花束を作るためだ。チューリップの刈り入れが終わると残った球根を引き抜く作業。ドクダミあるけんきょうつけてと友だちが言う。花たちがいなくなってからというもの、あっという間に草が生えたので、友だちの姿が見えん。


2010年06月28日(月)

 子供部屋はずいぶんちいさくなって見えた。姉は子どもの姿だから二段ベッドに入れる。私は二十歳なので部屋からはみだして無理矢理横になり眠るしかない。姉がバスタオルを数枚くれておかけよと言う。心臓に遠いところからねほら、かけて、と言う。起きたら寿司代を払おうと思う。
 じいちゃんが私たちを起こしにきて予想通り寿司代の話をする。カードと一万円をもらって、私たちは寿司屋にでかける。10年かかりましたねと寿司屋は言う。代金は3万円だ。足りないのでカードを使う。暗証番号がわからないと言うと、それでは一族の平均誕生日をと寿司屋。そんなの知らんよねと横の姉に言おうとするけど姉はすでに去った後だ。追いかけてきたじいちゃんが寂しそうに5月17日だよと言う。
 部屋に帰って姉を責めるが、姉は宿題のプリント(茶色い紙に印刷されている)を手にもって嬉しそうに飛び跳ねている。子どもだ。姉は私に宿題の答を教えてくれる。
「離歌と書いてリジンと読むんだ。おわかれの意味だよ」


2010年06月29日(火)

 寝坊してしまったけれど寝汗みどろでシャワーを浴びんわけにもいかん。風呂場に並ぶ。コンクリートの壁にはアクリル絵の具で描かれた海の生き物たちがもろもろと崩れている。


2010年06月30日(水)

 ひとりに二つ、トロトロした絵の具の入った瓶が渡される。薄いガラスでできた瓶。私が受け取った瓶は、若草色が入ったやつと、洗浄液が入ったやつ。みんなで五列くらいの縦隊を組んで、前の人から大学のカフェテリアの壁に瓶をぶつけていく。ぶつけた人は端に寄って眺める。壁にぶつかった瓶は割れて中の絵の具が飛び散る。「名画」ができあがるらしいけれどそれが誰の何の絵なのかわからない。一列が投げ終わったら掃除の人が出てきて硝子の破片を片付けてくれる、その掃除の人の丸まった背中がすごく寂しかったです。
 瓶を投げ終えて端に寄ると端にはアンケート用紙を持った人がいて映画のエキストラに興味ないかとみんなに訊いていく、でも私のとこには来なかった。なにそれ、悔しい。