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2010年12月15日(水)

 友だちと一緒にラーメン屋に入る。私は別の店で替え玉まで食べたあとだったからサラダ単品の注文。店員は髪の長いお姉さんひとりで、キャベツをだだだだだだと刻んでいる。キャベツを刻んでいるだけなのにラーメンもできあがる。どうなってるんですかと友だちが訊く。店員のお姉さんは黙って、店の奥に、行く。ついてこいという意味だと思って私たちもそれに続く。奥には壁がまだらに塗られた小部屋があって、いろんな大きさの絵が飾られている。絵もまだらに汚れている。お姉さんは私たちが部屋に入ったのを確認すると、扉を閉めてしまう。閉じ込められた私たちだった。天井が開き、そこからお姉さんの大きな目が覗いている。ゆっくりホースが降りてくる。友だちがホースを手に取ると、水がゆったりと流れ出す。絵を磨かなくてはならん。お姉さんの目は瞳孔を拳銃に変えて私たちを見張っている。


2010年12月17日(金)

 寒い夜道を歩いている女子高生になる。女子高生はセーラー服に茶色のマフラー、夜道はずっと黒色だった。足音で振り向くと後ろにはどうにも顔の見えない人影がいて、輪郭が不鮮明なものだから大人か子どもかもわからない、とにかく人影は炊飯器の中の内釜を持っている。炊飯器の内釜は光っていて、米と水が入っているのがよく見えた。友だちはもう先に行ってしまっている。人影が内釜をひっくりかえす。すると、暗い夜空から、たくさんの水と米が降る。水は冷たくて痛いけど、ぱらぱら降る米は陽気だ。遠くで友だちが驚いて、ぴかっと光りながら飛び上がったのが楽しかった。


2010年12月19日(日)

 父の運転する車に乗る。急がないと遅れてしまう。
 港を通るときに父が、窓を開けたらすごい音だろう、と言って窓を開ける。海面を太鼓祭りの太鼓が移動している。かき手の人びとは半分海中に浸っている。写真を撮ってよ携帯で、と姉に命令する。私の携帯は充電切れだ。
 車を降りて、植物園を抜ければ会場。植物園には赤い振袖を着た女神がいる。女神は片目が潰れたワニをかわいがっている。ワニは頭がいいから復讐は毒で行うのよ、と女神。会場ではみんな等間隔に座っている。先生がお前たちはすぐDSを始めるから嫌いだと泣いている。


2010年12月20日(月)

 死体があるから来てくれと言われてみんな港に集まるけど、次の次の授業では単語テストがあるためみんな乗り気でない。空は青いけれど海は夜みたいに真っ黒だった。死体はみごとに赤いのでたぶん偽物だろうと友だちに耳打ちされる。


2010年12月21日(火)

 食堂にはドーナツ形の白いテーブルがいっぱいあって、天井からはひとつひとつのテーブルを取り囲むように、大量の箱形テレビが吊るされている。無数の画面上には「世界の秘境シリーズ」が映し出されていて、私たちはホウレンソウなど食べながら、横目でそれを見ている。どこかの土でできたお城の紹介が終わって、また別のどこかの森が映し出される。
 この民族は森で暮らしている。樹の幹は黄色っぽくすべすべしていて、フキみたいな大きな黄緑の葉が目立つ。この大きな葉のせいで人びとはとても小さく見える。コロボックルみたい、と友だちの感想。森は急な斜面に茂っていて、人が住むための場所はだんだん畑のように整備されている。一段がとても高くて大人の身長くらいある。段は石を積んで作られていて、積まれた石を隠すように滑らかな土が塗られている。その壁面に民族は絵を描いている。森の絵だ。人びとも描かれている。ピンクのカエルも。その民族はピンクのカエルを信仰している、と説明が入る。ドーナツ形のテーブルの、ドーナツの穴の部分には大きな樹が生えていて、そうだ、ここが森だ。私たちは木漏れ日の中にいくつかのピンク色のカエルを見つけてさわぐ。ふっくらとした頬を持つ民族とあいさつを交わす。
 先生が笛を吹いて、それでは帰る時間。
 私たちは急いで自分の鞄を探す。見つからない。カエルはおいときなよと友だちに言うと、これは私の鍵盤ハーモニカだったんよと涙声の返事。友だちを慰めながら体育館を端から端まで歩いた。窓の向こうで母が、私たちの荷物を抱えて立っている。