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2011年01月22日(土)

 階段を上ったら私たちの部屋(クヴァルチーラ)。姉はベランダから伸びる道路に出る。歩いていく。私はベランダの階段をさらに上って、畳の部屋(コームナタ)に行く。畳は窓に近い部分がずいぶんと日焼けしていて白い。
 窓はいつも開けっ放しだ。レースのカーテン。外を覗くと姉が道路を行くのが見える。ひび割れたアスファルト。まわりには鮮やかな緑、赤、黄色。草花。使い捨てのカメラで写真を撮る。撮れる枚数には限りがあるから、慎重に。
 そして押し入れから外に出る。メリーゴーランドの邪魔にならないように歩けば、姉が歩いていったのと同じ道路に出る。白い木馬に乗る子ども、遠く下のほうに見える緑の中のプールで遊ぶ子どもたち、植物たち。目でよく見てからシャッターを切る。残り9枚のところで、カメラ一枚撮ったら回すあれが、回らなくなる。困っていると知らない男女がやってきて、見せてごらんと言う。男は私のカメラを手にとると、なんだ入れ替えればいいんだと言って、フィルムの入るところを開ける。子どもはそんなことしたらだめだよ全部消えちゃう、と怒ってカメラを取り上げ、真っ白くなってしまったフィルム、さらに怒る。女のほうが大丈夫だよと子どもの頭を撫でる。子どもはスーッと花畑に走っていってしまって、私はぼうっとしながら三人のやりとりを見ていた。女は私のカメラを踏みつぶして、灰色の電卓みたいなケースに収めた。ほら残ってる、と言って女は、私に電卓みたいなケースの画面を見せる。写真は全部残っている。画面にすべて。
 男女にお礼を言ってクヴァルチーラに帰る。白い畳に座って、窓枠にひじをついて、何枚も何枚も地平線を撮る。まわりが全部海になって人びとは浮く家に暮らしている。猫はずっとかごに入れていないと危険。
 引っ越しに備えてものを減らさなくちゃいけない。昔の体操服のゼッケンを細かくしてヨーグルトを混ぜて海に撒く。みんな黄色い魚が食べてくれる。


2011年01月23日(日)

 美術館を出て駅へ向かう道で姉とはぐれる。姉の友だちを見つけて姉はもう行ってしまったかを訊ねると、行ってしまったとのこと。まあいいか、ゆっくり歩く。
 アーケードのない商店街。荷台に水槽を載せたトラックが停まっている。作業員たちが回収した動物を整列させている。白い猫がたくさん、白い犬、白い小鳥、白いフクロウ。動物たちは作業員の持つ虫取り網の網部分に入れられて、水槽に浸される。そしてぐったりとぬいぐるみのようになって別のトラックの荷台に入れられる。猫狩りなう! と私はツイートする。猫たちどんどん詰められていく。フクロウはみんなペットだったのが連れてこられたようで、可愛い前掛けや首輪をしている。自分の置かれている状況をわかっているらしく、道行く人間たちに翼を振っている。私も手を振り返す。作業員にやめてくださいと言われる。後ろで主婦たちもみんな手を振っている。


2011年01月24日(月)

 水着を忘れてしまう。「保健室で配ってるよ」と友だちから助言をもらって、階段を降りていく。「でも真っ赤だからちょっと恥ずかしいと思う」とのこと。一階はデパ地下のようになっていて、保健室のコーナーを見つけるのも一苦労だ。
 さて配っている水着は緑色だった。赤色の配布は終わって次に薄紫、一番新しいのが緑ということらしい。野球のボールの刺繍がかわいらしい一品。携帯が鳴って「もう水泳の授業はじまっちゃうよ」と友だちから。出口を見つけるのも大変だしもういいかーと思う。ストーブの前のベンチに腰掛ける。人ごみをかき分けて走っている子どもがいる。子どもは追われている。階段を上って上って上って下りて、出口近くでやつらに見つかってしまう。でもまだ距離があるから大丈夫で、外に出たら知らない人の車に乗せてもらえて、本当に大丈夫。
 私はぬかるんだ地面を歩いている。舗装されていない地面。まわりの家々もみんな土っぽい。四つ辻のところで先生に会って、「追われている子どもはたいへんそうでした」と報告する。先生は「たくさんの印を蓄えたまま三つ目の道を選ぶことは不可能だった」みたいな言葉の筆で書かれた看板を持って立っている。


2011年01月25日(火) 1

 病院の裏口の戸が開いている。入り口にしゃがんでデジカメの液晶を覗く。ズーム。奥から走ってくるものがある。手術用の服を着た父だった。鬼が出たと父は言う。子どもたちは家に帰らされる。坂道をくだっていく。小さい灰色のトンボが目の端にちらついて、これが鬼じゃないかと思う。山のほうから高いキンとした音が聞こえて振り向くと、たくさんのトンボが飛び出してきていて空はくもりぞらみたいになる。みんなおびえる。トンボの中の一匹が下降してくるにつれ大きくなって、これ、が、鬼! でも落下を終えるとそれはハッポースチロールでできた大きな胸像。


2011年01月25日(火) 2

 お布団に寝転んでパソコン。新しい枕に新しいシーツ。彩度と明度の低い水色に角のまるい星がいくつも描かれている。でもそこはベッドじゃなくお風呂のふたの上だ。カーペットは風呂場のタイルの上に敷いてある。枕の下には何枚ものタオル。シャワーをどう浴びようか悩む。