about map e! yumenikki  nikkihito) インデックスへ

2011年02月20日(日) 1

 雨の音で目を覚ますとみんな同じように不安らしく、ほとんどの人が枕元の読書灯をつけて半身を起こしている。二段ベッドの並んだ部屋。赤い絨毯。大雨だった。増水して池は茶色く海とつながって流れ出してしまう。それが察されて、みんな地上に出ないと。水を吸った階段はふかふかしていた。
 地上につながる蓋をあけると部屋にも水が流れ込んでくる。気をつけて気をつけてって言いながら全員が外に出た。雨はあたたかかった。池では鯉たちがまさに押し流されんとしていた。私たちはマフラーをつなげて網のようにして、鯉たちを留めようとしたけれど、マフラーごと流されてしまう。
 失意の中部屋に戻る。水が入ってくるのも気にならなかった。どうせ水は風呂場に行くだろう、とみんな。私はどうしても鯉が気になる。友だちに、鯉も自由になれて嬉しいだろう、と慰められる。でも川は海とつながったんだから、鯉は海では生きられん、と不安なままだった。


2011年02月20日(日) 2

 車に乗る。運転席には先生、助手席に先輩、後部座席に私と友だちが座る。走り出して、途中の休憩所に入ると私の部屋だった。わざと2009年と2011年のカレンダーを重ねて取り付けているのに、2009年のカレンダーを先輩がはずしてしまう。でも先輩だから文句言えない。
 目的地に着くと夜で、そこは川だ。先生がトランクから網と袋を取り出す。袋には大きな黒い鳥が二羽入っていた。網を仕掛けてから鳥を川に放つと、川に住んでいる小鳥が網にさーっと逃げ込んでくる。オレンジ色の小鳥。網を引き上げると五羽ほどがぴよぴよしている。私たちは小鳥の胸の部分に書いてある原産地をチェックする。だいたいがカナダ産だ。そして首の付け根についてる小さなランプの光が目の色と同じかをチェックする。緑、黄、赤がある。帰り際に友だちがお疲れさまと、写真部で作った卓上カレンダーをくれる。


2011年02月23日(水)

 バイトでお客さんのはらったお金の中に100円札があったので社員さんに、100円玉と交換してもいいですか、て訊く。


2011年02月24日(木)

 提出された原稿の中に戯曲があってそれがすごくおもしろかった。妖怪の話だったと思う。おもしろいものを読んでわーわーしていると車の後部座席いっぱいに手紙を詰めて先輩がやって来て、手伝いを頼まれる。
 友だちと一緒に手紙の中に埋もれて座る。先輩の車の後部座席に。
 海辺の白い小屋につく。白い小屋は扉だけ赤い。先輩が、個人の郵便局だと説明してくれる。赤い扉をノックすると大男が出てくる。大男は先輩を見て、やあ今年も来たか、春は東の海岸に配ればいいんだったな、と言う。先輩は、覚えていてくれましたか、今年もお願いします、とにこやか。大男は小屋から掃除機を取り出して、車の後部座席に近づく。私たちに気づくと、すまないが降りてくれ、と言う。私たちが車から降りると大男は掃除機で手紙たちを吸い尽くす。先輩が大男にお金を払うと、掃除機のボタンのひとつが押され、手紙が空に向かって勢いよく吹き出し、そして飛んでいく。
 空になった車に乗って私たちは帰っていく。まだ空を手紙たちは羽ばたいていた。海岸沿いを走る車。私たちは先輩に茶色い粉の入ったビニール袋を渡され、海に巻くよう言われる。魚たちへのお願いが込められているそうだ。車の窓から手を伸ばしてビニール袋をはたはたする。


2011年02月25日(金)

 どんどん水が増える。岩場につかまったり亀とかビーバーにつかまったりしながら移動する。人びとの中には掌サイズのひとがたくさんいて、彼らは葉っぱに乗ってたら沈まんから、そうかそういう進化かあ。右手に掴んでた亀の甲羅が死んじゃってどんどんしなしなしていく。


2011年02月27日(日)

 二段ベッドの二階でおしゃべりな後輩たち。床にいるみんなはスマブラ。ベッドの向かいの壁に接してピアノ。私がスマブラで友達に負けてベッドの階段をのぼると天井からブランコ。私は、ブランコをこぐ。みんなもピアノも下のほうに見える。天井の向こうのお屋敷まで行ける。カーペットが敷かれた階段を飛び回る。とろとろになった人々が歩いているから本当に、私は、飛べる虫でよかった。  (「よかったね」「よかったね」と声のする白黒の夢だった。)