about map e! yumenikki  nikkihito) インデックスへ

2011年04月02日(土)

 学校に行くと校庭ではちらほら新歓がはじまっていて、自分たちの準備もしないとなあとちょっと焦る。一緒に来た友だちと話そうとしてもお互いの声が聞こえないようで会話が成り立たない。たぶんすごく大きな音が響いているんだと思う。校庭中に。空中の三匹の飛行機から。ピンク地に水色のストライプ、水玉、ボーダー、の三つの飛行機はリモコンで操作されてる。ラジコン部の宣伝だった。中に人は乗れないようで、ラジコン部のみなさんは学校の屋上や飛行機の上に立って飛行機を操縦していた。


2011年04月03日(日)

 本は地震で全部窓の外に落ちてしまったらしい。外では雨が降っていて、水たまりのできた地面に私の本たちが散らばっている。悲しい気持ちでカーテンを閉めて本棚を見ると、棚のすみに小さくて赤い公衆電話が設置されている。私はいろんな友だちに電話して、花見しよう、と言う。花見は坂を上ったさきにある公園で行おうと思う。集合場所は坂のはじまる場所だ。
 はやめに到着して、ピアノ教室に通う子どもらが坂をスキップでのぼっていくのを見る。子どもたちは今日がピアノの試験の日だ。ピアノの前に並んで順に課題曲を弾くのだった。友だちたちを待ったのはほんの10分ほどだったけれど、子どもらをながめていると子どもらの試験の様子がそれぞれの子どもの内側から眺めるように感じられて、怖かった。坂の角度がどんどん急になっていくように思えた。
 友だちから携帯に電話があって、「今、すごく、揺れた?」と友だちは言う。「揺れてないよ」「嘘」とかやりとりをしているあいだに、別の友だちふたりが到着した。そのふたりにも「揺れてない」と証言させる。すると電話の向こうの友だちは「じゃあ、ほんとに、今、別の世界にいるのかもしれない」と言って電話を切り、それきり電話はつながらなかった。


2011年04月04日(月)

 音楽室の楽譜入れてる棚にボウリングの球が入っている。びっくりして棚の前に突っ立っていると先輩がきて、その球あたしのだよちょっととって、と言うので手渡す。ずいぶん軽いなあと思う。先輩は球を手にすると思いっきり下に打ち付ける。すると床がどんどん抜けていく。音楽室は三階で、できたばかりのボーリングの球サイズの穴をのぞくと一階の廊下が見える。先輩が、よしこれで脱出できる、と得意げに言ったけど、えーそもそも閉じ込められてないよーと思ってあわあわした。


2011年04月05日(火)

 旅の一行である。私は胴体が空っぽの男で、その空洞を利用して体の中を冷蔵庫にしている。旅の途中で拾った小さくて細い子どもは言葉を理解しないけどすごく強い魔法使いで、私たちはどうにかこの子どもを守らないとなあと思う。子どもは寒さには強いが熱さに弱い。だから砂漠を行くときは、私の冷蔵庫の中に子どもを閉まっている。また、子どもはチーズが好きなので、冷蔵庫の中にチーズも溜めている。


2011年04月07日(木)

 顕微鏡のレボルバはずして、ガラス棒突っ込んで対物レンズのレンズを全部割る。ガーゼを巻いたピンセットでいろんな色のひび割れたビー玉を対物レンズの筒の中におさめる。レボルバをセットしなおしてまわしながら顕微鏡覗くと、万華鏡みたいにきれい。音楽も鳴る。


2011年04月08日(金)

 姉と一緒に引っ越しのための作業をする。クリスマスツリーの飾りを木箱に詰める。詰め終わった木箱を父母が大きなトラックに詰め込む。
 子供部屋が片付いたから私たち食堂に移動して、みんなと遊ぼうと思う。姉は姉の友だちのところに行った。私は私の友だちのところに行く。長い机を10人ほどで囲んで、トランプしようか。仕切り役の友だちが私に訊ねる。「この前やったトランプの遊びなんて言ったっけ、ふたりの間でルールが結構違って苦労したやつ」「大富豪?」「違う違う、カードを三枚ずつ並べて長方形作るやつ」結局その遊びは思いだせない。別の子が「じゃあペジワンしよう」と言う。「ページワンのこと?」「へえ、愛媛ではそんなふうにたるんだ言い方をするんだ」それでちょっといらっとしたけど、まあ、始めよう。すると鐘がかんかん鳴って、火事だと言う。
 壁の向こうに家がふたつ燃えてるのが見える。ふたつの家の上には電線、電線からは二本のロープが垂れていて、それぞれに人間がぶら下がっている。酷い表情だとみんな口々に言う。焼け死んだとか感電したとかじゃなく、二人が勢いよくぶつかって、それで駄目だったらしい。酷い表情だ。