2011年10月01日(土)
いくつかの芝居を見せられる。アンケート用紙が配られて、どれが一番好きでしたかと書いてある。どれも好きじゃなかった。でもドストエフスキー似の会場係のひとが客席の間をじとじと見ながら歩き回るからそうは書きにくかった。
2011年10月02日(日)
姉にオススメの映画を教えたら、もう見てるよ、家族で見に行ったよ、と言われてさびしい。
2011年10月03日(月) メモ
スケッチブックに成績、姉と布団を並べて眠る、夜遅くまで起きている、耳から入って寄生する目玉の形をした虫、洗剤でやっつける、ドレスを着る。
2011年10月04日(火) メモ
ダム、水中のトンネル、建物のてっぺん、茶色い水、バス、会議室、たくさんの新入生。
2011年10月06日(木)
姉に楽譜を見せてこれはあの映画の中で使われていたと思うと説明するけど取り合ってくれない。部屋をいっぱいお姫様みたいなひとが通りすぎる、それを姉たちは記録しているみたいだった。
2011年10月07日(金)
学校の中にできたカフェに入ると掛け軸に知ってる少女漫画の絵。そのカフェでの作法なども書き込んであって、歯を抜けとのこと。突然抜けねえよと思うけど、口の中では一本の歯がぐらつきだす。これはいけると思って歯を舌で押す。各席には卓上の鏡が備え付けてある。それを見つめながら歯を押していく。歯はみしみし傾く。手を口の中にいれて、歯を上にもちあげると、3分の2くらいは簡単にとれる。机の上の平べったい小柄な銀の皿に歯の3分の2を入れる。残りの3分の1は地獄だった。ひっぱると痛いし、もろもろし出して、最終的には歯茎に爪でやっとつまめる程度の欠片が残る。がんばってそれを引っこ抜く。爪の先を駆使して。口の中は歯の欠片でざらざらしてるし、血でぬるぬるしている。すぐ近くにある洗面台に水をためて顔をつっこんで口を洗った。血が止まってから主催の後輩に、なんなんあのカフェと訊ねる。あの掛け軸の少女漫画に出て来る通りです、と後輩、漫画の世界がそのまま体験できるってすごいと思いますが。
釈然としないままカフェを後にして、海岸にある広い階段を下りて行く。友だちや先輩、後輩が一列に並んで、ひとりだけ前に立って、そのひとりは並んでるひとたちの出す題に答えて即詠をしている。スポーツだなあと思う。休憩時間に入ると私たちの数人は手をつないで海に駆ける。海は浅い。向こう側の建物の付け根まですぐ行ける。建物に背を預けて並んで立つ。私の左横から突然ぱきっと深くなる海だから、手はつないだままだ。最初私たちを避けていた海の生き物たちは、だんだん慣れてそばを泳ぎ出す。小魚、おいしそうな魚、冷たい海の魚。ギザギザした歯の魚や怪獣も足下に来だして、ちょっと危険になって来たな、もどろう。再びゆっくり海を渡る。潮が満ちていて、帰りは行きよりたいへんだった。途中、写真を撮ったりもした。
帰ってくるとみんなまたそれぞれのことをしている。それぞれ楽しそうで正しい。