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2012年07月03日(火)

 カラフルな服を着てカラフルな靴をはいてみんなで高速道路を歩いて、そのずっと先にある傾向ピンク色のお城(結婚式場の廃墟らしい)に向かっていた。途中で地震に見舞われて、高速道路は後ろのほうからどんどん崩れだしたけれど、歩く速度より遅い崩れだったから大丈夫だ。
 高速道路のあちこちに定食屋があって、歩いて行くとちょうどご飯の時間にそのポイントに到達する。だからいつも定食屋で食事をとる。3日続けて好きな友だちが隣の席に座ってくれて嬉しかった。その日はみんな、私の知らない歌集の話をしていた。『僕らの町があるくらいだ』という本。みんなが歌を引用したり、感想を言い合ったりするのをききながら私は、紺色の工場街の上に白い穴みたいな大小の星がいっぱいあって、水色に光っている、嵐の夜の光景を思い描いていた。


2012年07月05日(木)

 金髪の少女がヒーローとして活躍する映画を見た。仲間たちと協力して黒幕を倒す。インターネットや空を飛ぶ靴を駆使して。主人公の友だちの少女が主人公の瞼を舐めると化粧が施されるシーンがすごかった。銀色のアイシャドウ。夜の広場でみんなで楽器を演奏して終わった。エンドロールに流れる映画の主題歌は外国語で歌われていたけど、字幕に出てきた日本語訳の音の数がぴったりなので、日本語の歌をきいているのかとときどき不思議な気分になった
 とてもおもしろかったけど見終わるとつかれてしまって、私たちはそのあとに予定していた流しそうめんを断念した。ミスドをバイト先でもらった特別なカードで貸切にしてもらい、ドーナツを積んだり食べたり、踊ったりした。店内にはジャズを流して、音は光になって跳ねた。


2012年07月07日(土) メモ

 室内フリーマーケット、ピアス煮沸、閉店間際のデパートの地下の古本屋、防犯ライト展示室。


2012年07月08日(日)

 単語を区切らずに歌われ、聞き手がそれを聞きながら区切ってしまう位置によって歌詞の意味が変わるという歌がある。あらわれる意味のひとつは神を冒涜していて、もうひとつは虫たちを愛でていた。歌っているのは花柄のドレスの太った女性。新宿のビルほどの大きさ。少年はビルの屋上に立って、歌う巨体に向けて発砲している。掌におさまるサイズの小さな銃だ。でも女性の髪に当たった銃弾はすぐにポップコーンになって街の人々に降り注ぐばかりだ。少年がビルから飛び降りるたので、私はびっくりして目を離した。すると全部が文字になる。
 全部小説の中のことだったらしい。翻訳小説だ。ページを戻ると例の歌の歌詞も書いてある。大きい文字で神を冒涜する歌詞、その右側に小さく虫を愛でる歌詞、反対側にはアルファベットで区切られない歌詞が記されていた。
 さて、時間だ、釣りに行こう。風は強いけれど晴れている。友だちと小説の内容について話しながら、釣竿に糸と釣り針、おもりをつける。友だちはそれは小説じゃなくて辞書か夢だと思うと言う。風で釣り針はうねうねと飛び、私たちの指に何度も刺さった。砂浜で餌のゴカイを探す。青いパンツが落ちていて、その中にいっぱいいた。釣り針は細いのが2つついていたけど、ゴカイも針も活きがよすぎてひとつつけるだけでくたびれた。海に放るとすぐにキスが一匹釣れた。次に知らない灰色の六角形の魚。これは小さすぎるから逃した。そしてメバルとカレイ。砂浜に穴を掘って、そこを生簀代わりにした。
 それからもずっと釣りを続けた。友だちのひとりは同じように釣りを始め、別のひとりはスケッチをし、またひとりは踊っていた。潮が満ちてもかつての波打ち際で踊っていて、とても心配だった。
 防波堤の場所に移動する。もう餌をつけなくてもなんでも釣れた。釣るたびに喝采。竿はもうボロボロで、ほとんど糸を手に持って魚釣りをしていた。最後にでかい巣魚(口の大きな乳白色の魚。透けた身に透明な骨が見える。煮ると美味しい。骨と鱗は溶かして固めると宝石になる)を釣り上げた。みんなが頬にキスして祝ってくれた。私について書いた本も出ると聞いて嬉しかった。


2012年07月10日(火)

 洗濯機が動かないと思ったら、シャツなど全部ハンガーに設置した状態で入れてしまっていた。なんでそうしたのか少女に訊くと、干すときに楽なようにと思った言う。許す。みんなでバケツリレーみたいにしてハンガーをはずし、服を洗濯機におさめた。
 白い道路は海の上をずっと走っている。あれは瀬戸大橋かと橋のずっと上空を飛びながら思う。でもたぶん違うだろう。四国はあんな形じゃない。
 都会の交差点は無人だった。信号は全部青だった。私と姉が合唱曲を大声で歌いながら横切ろうとすると、他人のふりをしながら先輩が通り過ぎた。なんだか申し訳なかった。
 本屋で友だちと合流する。白い椅子が欲しいのだと言う友だちは、姉と家具家に行った。留学から帰ったばかりで、いまは劇場の屋根裏に隠れ住んでいると言う。私はテストの結果を先生に渡しに行った。自己採点だったから、自分がわかればだろうとすごく雑な解答用紙を作っていたので、それを怒られた。教室から出ると、曲面に囲まれた廊下に出た。
 向こうのほうに人影がある。追わなければと思う。人影はたぶん6階の中心部に向かっているはずだ。まずこの端の階段で8階まで行って、それから中心のエスカレーターで6階に行こう。上の階ほど白い壁が透けていた。ドーナツ状のデパートだ、ここは。8階からはどの階へもエスカレーター1本で行ける。6階に降りて、ゲームコーナーでみんなと合流する。パラシュートで海へと降下。波のあいだを漂いながら、8階から0階へのエスカレーターのあまりの急角度をみんなで笑った。