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2012年09月13日(木)

 空き地を横切って帰っている。草が背丈よりも高くて、二の腕や頬が痒い。空き地のガードレールにはサッシがあって窓ガラスが一枚はまっている。それに触れると思いがけないスピードで窓が滑ってマンションのほうに飛んでいく。マンションのそばまで行くと窓は犬になる。危ないですよと警告する。ダックスフンドに見えますが窓です、触ると手が切れます! マンションの一階に住んでいるお姉さんは警告したにも関わらずベランダの窓を開いて、窓の犬を招き入れてしまう。私たちもほどなくマンションに到着する。お姉さんに犬について尋ねると、ずっと飼ってる私の犬だとお姉さんは答える。なんだ、そうだったのか。お姉さんは私に、後ろにいるのはお友達? と訊く。私は、いえ、みんな同じ階の仲間なんですとエレベーターを指さす。でも私はもうこのマンションの住人ではない。
 みんなでエレベーターに乗り込む。
 エレベーターは勝手に進みだした。どの階にもまだ着かない。これからどうしようと私たちは話し合う。床が透けて海が見えている。どのくらい遠いんだろう。友だちのひとりが試しに眼鏡を落としてみると、しばらくたってから水の跳ねる音がした。


2012年09月16日(日)

 学校みたいな広い家だけど風呂は離れたところにある。私はどこでもドアみたいな鍵を持っている。空中に鍵をさしてまわせば、行きたいところの扉になって開いてくれる。お風呂に行きますと言って出てから、着替えとタオルを忘れたことに気づいたので、鍵を使って部屋にもどる。外では朝焼けがキラキラしているけど、家の中は薄暗い。どの部屋の明かりもついてない。みんな出勤したんだろう。鍵を使ってこっそり帰らなくてもよかったと思う。代わりに今度は歩いて風呂まで行こう。
 玄関まで歩いたところでチャイムがなる。妹の声で何か言っているけど、すりガラス越しに見える影は私よりも背高だ。予定変更。鍵を使って、玄関を出て階段を降りた先の、木々のたくさん植わった庭に出る。そして玄関のほうを仰ぎ見る。顔が見えないのではっきりとはわからないけれど、服装も体格も、見覚えのない女がぼんやりと立っている。気づかれてはいけない。音を立てないように走りながら、結局着替えもタオルも忘れたことに気づいた。
 道中で友だちを見つける。喪服を着ている。友だちと腕を組んで歩きながら、喪服は持っていないけど私も制服だから大丈夫だろうと思った。道路にはたくさん穴が開いていて、金属の網の上をたくさん歩いた。穴からは風が吹き上げている。東京って怖いねと話す。友だちとどんどん合流して、長い階段をのぼる。


2012年09月17日(月)

 冷蔵庫に飲み物を探しに行くと玄関に牛乳パックがおいてあるのを見つける。ふたつ。ひとつは開封してあって、おとといの日付、8月8日が消費期限。もうひとつはまだ先だ。いつからここにあるんだろうと不思議に思いつつ、どちらも冷蔵庫にしまった。


2012年09月18日(火)

 友だちと手をつないで街を走っている。信号待ち。予約していた映画の時間がせまっていた。その上迷子だ。新宿のはずなのに建物がぜんぶカラフルで、遊園地みたいだった。信号がやっと変わってまた走りだす。友だちが突然足を止めたので私もひっぱられて止まる。どうしたのか訊くと、雨が、と友だち。雨が降ってきていた。横断歩道のちょうど真ん中のあたり、私たちの立ち止まったところの少し向こうには土砂降りの街がある。上を向くと快晴だ。でも雨降りのほうの街は日に当たってるのに薄暗くって、建物もみんな灰色だった。先に映画館についている友だちや姉から、まだかとメールが来る。私たちはまだ立ち止まっている。雨はなんだかとても不気味だけど、向こう側の新宿のほうが見知っているから、渡ってしまうのが正解なのかもしれないし。


2012年09月22日(土)

 友だちがお墓参りに行くのについていく。墓地はずいぶん山奥にある。でも私は道をよく知ってる。友だちの運転する赤い車の助手席でふるさとについて自慢する。木造の古い校舎のそばに墓地はある。友だちは全部の墓に花をやる。全部の墓からセミの脱け殻を回収する。脱け殻を小川に落とすと流れのなかでばらばらになり、金の粒になって沈んだ。
 小川の水をすくって何度も手をあらった。帰りは徒歩だ。父母や姉、別の友だちも合流する。山をくだりながら下に広がる海を見る。夕暮れならもっときれいなんだ。途中の休憩所で秋刀魚を食べた。